ISO 22000食品安全マネジメントシステム
HACCPシステムをベースとして国際的に共通な食品安全に関する管理の仕組み、さらに、企業のマネジメントシステムの中で食品安全を管理できるような仕組みとしたISO 22000規格が2005年に制定されました。
ISO 22000規格は、食品に関連する広範囲の企業(フードチェーン)の食品安全を目的とした管理の仕組み(マネジメントシステム)を提供するものです。
国際標準化機構(ISO)が定めたHACCPの要求事項を含む要求事項からなる食品安全管理の世界標準システムです。
安全性の基準値を定めたものではなく、企業全体で取組む食品安全マンジメントシステム(仕組み)のモデルを示したものです。製造工程を含めた企業全体の管理システムにより、製品の安全性を保証しようとするものであり、安全性を脅かす危険性のある工程、業務に基準を設け、それを徹底的に管理することを基本としています。
認証取得の効果
認証取得によって下記の効果が期待できます。
- 食品の安全な提供に関するリスクの低減
- 業務効率の改善や組織体制の強化
- 仕事の見える化による業務継承の円滑化
- 継続的な改善による企業価値の向上
- 法令順守(コンプライアンス)の推進
- 海外企業を含む取引要件の達成
- 規制および顧客の要件を満たす
- サプライチェーンにおける食品の安全性の向上
- リスクと食品安全関連の事故を最小限に抑える
ISO 22000:2018の構成
食品安全マネジメントシステム
(ISO 22000)
- 序文
- 1 適用範囲:フードチェーンのすべての組織に適用
- 2 引用規格:この規格に引用規格はありません。
- 3 用語及び定義:規格内で使われる用語と定義
- 4 組織の状況:内部環境と外部環境について記載
- 4.1 組織及びその状況の理解
- 4.2 利害関係者のニーズと期待の理解
- 4.3 食品安全マネジメントシステムの提要範囲の決定
- 4.4 食品安全マネジメントシステム
- 5 リーダーシップ:トップマネジメントがすべきことについて説明
- 5.1 リーダーシップ及びコミットメント
- 5.2 方針
- 5.3 組織の役割、責任と権限
- 6 計画:PDCAのPの部分。FSMSを回す上で必要な計画
- 6.1 リスク及び機会への取り組み
- 6.2 食品安全マネジメントシステムの目標及びその達成のための計画策定
- 6.3 変更の計画
- 7 支援:FSMSを回す上で必要な従業員への支援(教育等)について記載
- 7.1 資源
- 7.2 力量
- 7.3 認識
- 7.4 コミュニケーション
- 7.5 文書化した情報
- 8 運用:PDCAのDの部分。前提条件プログラム(PRP)やHACCPの内容
- 8.1 運用の計画及び管理
- 8.2 前提条件プログラム(PRPs)
- 8.3 トレーサビリティシステム
- 8.4 緊急事態への準備及び対応
- 8.5 ハザードの管理
- 8.6 PRPs及びハザード管理プランを規定する情報の更新
- 8.7 モニタリング及び測定の管理
- 8.8 PRPs及びハザード管理プランに関する検証
- 8.9 製品及び工程の不適合の管理
- 9 パフォーマンス評価:PDCAのCの部分。内部監査やマネジメントレビューの内容
- 9.1 モニタリング、測定、分析及び評価
- 9.2 内部監査
- 9.3 マネジメントレビュー
- 10 改善:PDCAのAの部分
- 10.1 不適合及び是正処置
- 10.2 継続的改善
- 10.3 食品安全マネジメントシステムの更新
- 付属書A(参考)CODEX USCCPとこの規格との対比
付属書B(参考)この規格とISO22000:2005との対比
前提条件プログラム
ISO/TS 22002-1(食品製造業に適用)
- 序文
- 1 適当範囲
- 2 引用規格
- 3 用語及び定義
- 4 建物の構造と配置
- 5 構内及び作業区域の配置
- 6 ユーティリティ-空気、水、エネルギー
- 7 廃棄物処理
- 8 装置の適切性、清掃・洗浄及び保守
- 9 購入した資材の管理(マネジメント)
- 10 交差汚染の予防手段
- 11 清掃・洗浄及び殺菌・消毒
- 12 有害生物の防除(ペストコントロール)
- 13 要員の衛生及び従業員のための施設
- 14 手直し
- 15 製品リコール手順
- 16 倉庫保管
- 17 製品情報及び消費者の認識
- 18 食品防衛、バイオビジランス及びバイオテロリズム
- その他、前提条件プログラムに以下が設定されています
- ・畜産業・水産業に適用:ISO/TS22002-3
- ・ケータリングに適用:ISO/TS22002-2
ISO/TS 22002-4(包装資材の製造業に適用)
- 序文
- 1 適当範囲
- 2 引用規格
- 3 用語及び定義
- 4 包括的前提条件プログラム
- 4.1 施設
- 4.2 配置及び作業空間
- 4.3 ユーティリティー
- 4.4 廃棄物処理
- 4.5 装置の適切性、清掃・洗浄及び保守
- 4.6 購入材料及びサービスの管理
- 4.7 汚染の予防手段
- 4.8 清掃・洗浄
- 4.9 有害生物[そ(鼠)族、昆虫等]の防除
- 4.1 要員の衛生及び設備
- 4.11 手直し品
- 4.12 回収手順
- 4.13 保管及び輸送
- 4.14 食品容器包装に関する情報及び顧客とのコミュニケーション
- 4.15 食品防御及びバイオテロリズム
- 付属書A(情報)食品容器包装及び開発する項目の比較
認証に必要な書類およびシステム要件
方針宣言 | ・食品安全、継続的改善、法や顧客要件の遵守についての公約 |
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HACCPプラン | ・すべてのCCP及びOPRPの特定 ・許容限界および是正処置の監視と記録 ・HACCPプランのスタッフへの迅速な公開 ・回収(リコール) |
食品安全チーム | ・食品安全チームリーダーの決定 ・議事録の作成を伴う定期会合 ・全ての書類修正の承認および新しいプロセス並びに製品の承認 |
食品安全マニュアル | ・ISO22000の条項への対応 ・任意の他の手順を含めることも可能 ・組織の構成および責任を記述 |
作業指示書(PRP) | ・PRP(前提条件プログラム) ・関連GMP/GHPの文書化 ・使用するための配布および文書の管理 |
継続的改善 | ・食品安全問題の報告および対処の方法 |
実施 | ・システムの正常稼動の証拠 ・担当スタッフのCCP訓練および新規スタッフの採用 ・CCPの記録保持 ・テスト済みのリコール手順 ・各種機器の校正 ・方針宣言を裏づける測定可能な目標 |
審査 | ・HACCP検証(ミクロテストなど)およびHACCP妥当性確認 ・内部監査の実行および記録 ・マネジメントレビューの実行および記録 |